脊髄小脳変性症の遺伝カウンセリング|受けるべき?内容と費用を解説

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脊髄小脳変性症(SCD)と向き合う中で、多くの方が心の奥底に抱えられる切実な悩みがあります。それは「この病気は子供や孫に遺伝するのだろうか」という不安です。

「自分が親から受け継いでしまったのではないか」という葛藤や、「大切な子供に同じ思いをさせたくない」という願い。これらは、病気と真摯に向き合っているからこそ生じる、非常に人間味あふれる感情です。

長野県須坂市の「森上鍼灸整骨院」で神経内科専門の鍼灸師として多くの患者様の声を聴いてきた立場から、今回は「遺伝カウンセリング」という選択肢について、理知的に、そして冷静に解説いたします。


脊髄小脳変性症の遺伝形式と子供への確率

脊髄小脳変性症の約30〜40%は遺伝性であると推定されています。まずは、ご自身の状況を整理するために、基本的な遺伝の仕組みを理解することが大切です。

常染色体優性遺伝(AD)

遺伝性SCDの大半を占めるタイプです(SCA1、SCA2、SCA3/MJD、SCA6など)。この場合、ご両親のどちらかが罹患されていることが多く、お子様にはそれぞれ**「50%の確率」**で病気の原因遺伝子が伝わります。

表現促進現象という特徴

一部の病型では、世代を追うごとに発症年齢が若くなったり、症状が重症化したりする「表現促進現象」が見られることがあります。こうした医学的特徴を知ることは、将来の家族計画を立てる上での重要な判断材料となります。


発症前診断を受けるメリットとデメリット

現在症状が出ていない血縁者が、遺伝子検査によって将来の発症リスクを調べることを「発症前診断」と呼びます。これは人生を左右する極めて重大な選択です。

自分自身の人生設計のために(メリット)

検査を受けることで、将来的な病状の予測がある程度可能になります。結婚、就業、家族計画など、具体的なライフプランを立てやすくなるという側面があります。また、「もしも」という漠然とした不安を抱え続ける状態から解放され、現状をすっきりと受け入れられるようになる方もいらっしゃいます。

精神的なリスクと共有性の問題(デメリット)

一方で、陽性だった場合の精神的なダメージは計り知れません。また、ご自身の結果が判明することで、図らずも他の兄弟や親族の遺伝的リスクまで明らかにしてしまう「情報の共有性」という難しさもあります。たとえ結果が陰性であっても、発症している家族に対して申し訳なさを感じる「サバイバーズ・ギルト」のような感情に苛まれるケースも少なくありません。


遺伝カウンセリングで何が行われるのか

遺伝子検査は、単なる採血検査ではありません。検査の前後に行われる「遺伝カウンセリング」こそが、意思決定を支える核心となります。

正確な情報提供と意思の尊重

カウンセリングでは、専門家が疾患の性質や遺伝リスクについて正確な医学情報を提供します。最も大切なのは、検査を強制されることは決してないということです。

知る権利と「知らないでいる権利」

患者様には、結果を詳細に「知る権利」があるのと同時に、あえて**「知らないでいる権利(検査を受けない権利)」**も等しく認められています。専門家は、あなたが納得のいく答えを出せるよう、時間をかけて対話を重ね、意思決定を支援してくれます。


費用と実施医療機関の目安

遺伝カウンセリングを受けたいと考えたとき、どこへ行き、いくらかかるのかを知っておくことは安心につながります。

実施医療機関

現在、多くの大学病院や総合病院には「遺伝子診療部門」や「遺伝相談外来」が設置されています。そこでは臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーといった、深い専門知識を持つチームが対応してくれます。

費用の相場(1〜3万円前後)

カウンセリング費用は、保険適用(遺伝カウンセリング加算など)となるケースもあれば、発症前診断のように自由診療(自費)となるケースもあります。

  • 目安:相談料として1回1万円〜3万円前後(検査費用は別途)
  • 注意点:施設や保険適用の有無によって大きく異なるため、事前に各医療機関のホームページ等で確認することが推奨されます。

まとめ:心の負担を軽くするために

遺伝の問題は、一人で、あるいは家族だけで抱え込むにはあまりにも重いテーマです。専門家による遺伝カウンセリングは、混乱した情報を整理し、納得できる人生の選択をするための「地図」を手に入れるようなものです。

私たち森上鍼灸整骨院では、こうした遺伝への不安を抱えながらも、「今、自分にできること」として鍼治療に励む患者様を全力でサポートしています。体の機能を整えることは、心の安定にもつながります。

当院では、他覚的な検査を通じてお体の状態を詳細に把握し、少しでも進行を遅らせ、機能を維持するための専門的な鍼治療を行っております。一人で悩まず、まずは一歩、専門的な知見を持つ者の扉を叩いてみてください。

脊髄小脳変性症の鍼灸外来

一般的な鍼灸院では行わない「体の状態を客観的に捉える方法」です。

脊髄小脳変性症の方の足部の温度分布を確認する様子

足部の温度変化を確認する検査の一例

「診断はついた。けれど、今の自分の状態がどうなのかは、よくわからない」

「薬を続ける以外に、何を意識すればいいのか、誰も教えてくれなかった」

私たちは、こうした行き場のない不安を抱える患者さんと40年間向き合ってきました。


当院では、サーモグラフィで全身の体温分布を可視化します。 脊髄小脳変性症の方では、 ご本人が感じている歩きにくさやふらつきと一致する形で、 手足の温度分布に左右差が見られることがあります。 その一致を一緒に確認することで、 「なぜ今の動きにくさが出ているのか」を整理する手がかりになります。

この検査には専門機器と解析技術が必要なため、一般的な鍼灸院で行われることはまずありません。 感覚や印象だけに頼らず、今の体の状態を落ち着いて見つめたい方のための情報提供の場として、 ご相談をお受けしています。

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参考文献

  • 『ねころんで読める歩行障害 脳神経内科医だけが知っている、「歩く」にかかわる病気あれこれ』 メディカ出版
  • 『脊髄小脳変性症マニュアル 決定版!』 日本プランニングセンター
  • 『脊髄小脳変性症の臨床』 新興医学出版社
  • 『難病医療専門員による難病患者のための難病相談ガイドブック』 九州大学出版会